
「うちの子、スポーツなら前向きに頑張るのに、勉強になると全然続かないんです」
ゲームなら何時間も集中できる。
スポーツなら、しんどい練習でも頑張れる。
でも、勉強になるとすぐに手が止まる。
これだけを見ると、
「 勉強が嫌いなのかな 」
「 やる気がないのかな 」
「 根気が足りないのかな 」
と思ってしまうかもしれません。
でも、私はそれだけではないと思っています。
スポーツやゲームは「結果」が見えやすい
スポーツやゲームが続きやすい理由のひとつは、結果がすぐに見えることです。
例えばスポーツなら、
- 昨日より少し速く走れた。
- 前より遠くまで投げられた。
- シュートが入った。
- 試合で勝った。
ゲームなら、
- ステージをクリアした。
- 点数が上がった。
- レベルが上がった。
- 新しい技が使えるようになった。
こういうふうに、自分が前に進んでいることが分かりやすいのです。
子どもにとって、これはとても大きな力になります。
「 できた 」
「 前よりよくなった 」
「 もう少しやってみよう 」
そう思えるから、続けられるのです。

勉強は「できるようになった」が見えにくい
一方で、勉強は結果が見えにくいことがあります。
特に中学受験の勉強では、すぐに点数が上がるとは限りません。
- 宿題をやった。
- 授業を受けた。
- 解き直しもした。
それでも、次のテストですぐに結果が出ないことがあります。
そうなると子どもは、
「 やっても意味がない 」
「 どうせできない 」
「 勉強は面白くない 」
と感じやすくなります。
保護者の方も、つい焦ってしまいます。
「 もっと解きなさい 」
「 この問題もやりなさい 」
「 なんで前にやったのにできないの? 」
そう言いたくなる気持ちは、とてもよく分かります。
ただ、子どもの側から見ると、解けない問題が増えれば増えるほど、勉強は「できないことを確認する時間」になってしまうことがあります。
これでは、なかなか前向きにはなれません。
だからこそ、まずは「できた」がすぐに見える課題を入れてあげることが大切です。
「成長が見える」100マス計算が面白い
たとえば、当塾の生徒でも、100マス計算のように結果が分かりやすい課題に取り組むと、まるでゲームのような感覚で、のびのびと計算を始めることがあります。
- 何分でできたか。
- 昨日より何秒速くなったか。
- ミスが何個減ったか。
- 前よりスムーズに手が動くようになったか。
こういった変化が、子どもにも見えやすいのです。
「 昨日より速くできた 」
「 前は途中で止まっていたのに、今日は最後までできた 」
「 また明日やったら、もっと速くなるかもしれない 」
こういった変化がすぐに見えると、子どもは少しずつ前向きになります。
大切なのは、単に速さだけを競わせることではありません。
子ども自身が、
「 自分は少しずつできるようになっている 」
と感じられることです。

計算が遅いと、考える力を使う前に疲れてしまう
算数が苦手な子の中には、文章題が苦手に見えて、実は計算の段階でかなりエネルギーを使っている子がいます。
文章題を読んで、何を求めるのか考える。
- 式を立てる
- 図に整理する
- 条件を比べる
本来、算数で大事なのはこの部分です。
ところが、基本的な計算に時間がかかりすぎると、文章題の内容を考える前に頭が疲れてしまいます。
計算に意識を取られすぎて、問題の意味を整理する余裕がなくなるのです。
だからこそ、基礎的な計算をある程度スムーズにできるようにしておくことは大切です。
これは「簡単な問題ばかりやればいい」という意味ではありません。
難しい問題を考えるために、土台となる部分を軽くしておく、ということです。
間違いは「できない証拠」ではありません
もうひとつ大切なのは、間違いへの向き合い方です。
勉強では、どうしても 〇 か ✖ かに目が行きます。
もちろん、テストでは正解する力が必要です。
中学受験では、点数も大切です。
ただ、普段の学習で ✖ を「できない証拠」として見すぎると、子どもは間違えることを怖がるようになります。
「 どこでつまずいているのか 」
「 何を勘違いしているのか 」
「 どの部分をもう一度練習すればいいのか 」
✖ はこれらを教えてくれるものです。間違いを見つけたときに、
「 ここが分かれば、次に進める 」
「 ここを直せば、できる問題が増える 」
と思えるかどうか。
ここで、子どもの勉強への向き合い方は大きく変わります。
最初から大量にやらせるより、小さな達成感を作る
勉強が続かない子に対して、最初から大量の課題を出すと、かえって気持ちが折れてしまうことがあります。
特に、親から見ても解けない問題が増えてきたときに、
「 これもやりなさい 」
「 あれもやりなさい 」
となると、子どもはますます苦しくなります。
そういうときこそ、まずは小さな達成感を作ることが大切です。
「今日はここまでできた。」
「 昨日より少し速くなった。」
「 前に間違えた問題が解けた。」
「 10問中3問だったのが、5問できるようになった。 」
こういう小さな変化を積み重ねることで、子どもは少しずつ前を向きます。
勉強が得意な子は、最初から特別な根性があるわけではありません。
「 やれば少し変わる」
「 自分にもできることがある 」
と感じる経験を、どこかで積んでいることが多いのです。
まとめ|勉強を続ける力は、環境で育てられる
勉強が続かないとき、子どもだけを責めてもなかなか変わりません。
大切なのは、勉強の中に「結果が見える工夫」を作ることです。
- スポーツやゲームのように、少しずつ前に進んでいることが分かる。
- 間違えても、次に進むための材料として受け止められる。
- できたことを、本人が実感できる。
そういう環境があると、子どもは少しずつ変わっていきます。
灘式井口塾では、ただ問題をたくさん解かせるのではなく、その子がどこで止まっているのか、どこを少し変えれば前に進めるのかを見ながら指導しています。
勉強が続かないのは、やる気がないからとは限りません。
続けたくなるような形に、まだなっていないだけかもしれません。
子どもが「できた」を感じられる学習を、少しずつ積み重ねていくこと。
それが、勉強を続ける力につながっていくのだと思います。

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